2020-05-25更新
高齢者の熱中症対策
人間工学専門家●石川文武
私たちの体温は、皮膚の血流量や発汗量で調節をしています。外気が皮膚の温度を超えると放熱しにくくなり、湿度が高いと汗の蒸発量が少なくなって体温が上昇します。このように、高温環境下で体が熱を放出できなくなってしまうのが熱中症の原因です。
日本救急医学会では熱中症の重症度を次のように分類しています(図)。高齢者は、発汗と血液循環が老化し体温調節機能が低下しており、暑さに対する抵抗力が低下しています。また、高齢者は喉の渇きを感じにくくなるため、喉の渇きで水分喪失の程度などを判断せず、小まめに水分を取ることが必要です。
熱中症予防のポイントは以下のようにいわれています。
(1)小まめに水分と塩分を補給しましょう。
(2)風通しの良い服装が適しています。
(3)作業中は以下の点に注意しましょう。強度の高い作業はいきなり始めず、徐々に強度を高めましょう。作業開始30分前に水分を摂取し、その後は発汗に応じて補給しましょう。午前10時から午後2時までの作業は避けるようにしましょう。
熱中症発見時の処置について
・涼しい環境への避難:木陰や冷房の効いた部屋など涼しい所に寝かせます。衣服を緩めて楽にさせ、回復を待ちます。
・脱衣と冷却:首、脇の下、太ももの付け根を中心に氷、冷やしたタオルなどで冷やすのが効果的です。
・水分、塩分の補給:意識がある場合は、まず水分を補給しましょう。スポーツドリンクも有効です。意識がない場合は、水分補給をやめましょう。
・119番通報:はっきりと異常が分かる場合や迷ったときは早めに救急車を呼びましょう。
図 熱中症の症状と重症度分類
※JA広報通信2020年6月号より