2020-01-23更新

農用運搬車の安全問題

人間工学専門家●石川文武

 農村地域での生産物や資材の運搬手段はかつて歩行型トラクターに連結されたトレーラーが大半でした。最近はトラックが主となり、圃(ほ)場内、ハウス内、斜面、狭隘(きょうあい)道路などでは、農用運搬車(以下「運搬車」)が利用されるようになっています。台数は減りつつありますが、年間に25~45人が事故で死亡しています。無傷、軽傷事故を含めると転倒・転落が50%弱、衝突が20%弱といわれています(革新セ調べ)。荷台から振り落とされる事故もあります。
 転倒・転落事故の発生は道路が過半であり、下り坂が4割程度となっています。主原因は、脇見、速度超過、制動力不足が多いようです。脇見については機械面からのサポートは難しいですが、他の二つについては制動力強化、積載時を含めた低重心化、ROPS装着とシートベルトの改善が必要と考えられます。ROPS装着は有効な手段ですが、本体価格と比べてROPS部分のコストが高くなり、また、運搬車本体の構造強度見直しも必要となり、普及には時間がかかりそうです。
【事例1】80代の男性がダンプ式の乗用型運搬車で堆肥を微速で前進させながら圃場に散布していた。散布し終わったときにブレーキとアクセルを踏み間違えて暴走させ、前方のあぜを乗り越え、崖下に転落し、重傷を負った。
対策……後方に注意を集中し過ぎてペダルを踏み間違えたものです。暴走し始めたときにパニックになり冷静に対応ができませんでした。高齢も一因だと考えられます。
【事例2】牧草を積んで農道を走行していた。前日の雨で路面がぬかるんでおり、サイドスリップして路肩を踏み外した。荷台に差し枠を挟んで積載量をオーバーしていたことも原因と考えられる。
対策……積載量を守り、路面の状況に合わせた速度で移動しましょう。

※JA広報通信2020年2月号より

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